FXの取引画面を開くと、「成行」「指値」「逆指値」「IFD」「OCO」「IFO」といったボタンが並んでいます。名前だけ見ても何が違うのか分からず、とりあえず成行だけを使っている、という方も多いのではないでしょうか。
実は、注文方法を使い分けられるようになると、画面に張り付いていられない時間帯でも取引を組み立てられるようになります。この記事では、FXの注文方法を基本の3種類と組み合わせの4種類に整理し、それぞれをどんな場面で使うのかを解説します。

FXの注文方法は7種類に整理できる
会社によって呼び方や画面の見せ方は少し違いますが、国内のFX会社で使える注文方法は、おおむね次の7種類に整理できます。
- 成行注文
- 指値注文
- 逆指値注文
- IFD(イフダン)注文
- OCO(オーシーオー)注文
- IFO(アイエフオー)注文
- トレール注文
このうち前の3つが基本で、後ろの4つは基本の注文を組み合わせたものです。組み合わせの仕組みが分かれば、名前の複雑さに惑わされることはなくなります。取引スタイルごとの使い分けについては、GMOクリック証券の注文方法の解説ページにも整理があります。
基本の3種類
成行注文:今すぐ売買したいとき
価格を指定せず、「今のレートでいいから売買したい」というときに使う注文です。注文を出した瞬間に約定するのが最大の利点で、相場が急に動いたときにすぐ乗りたい、あるいはすぐに逃げたいという場面で使われます。
注意したいのが、約定する価格を自分で決められない点です。値動きが激しいときには、注文を出した瞬間のレートと実際に約定したレートがずれることがあります。これをスリッページといいます。想定より不利な価格で約定する可能性があることは、押さえておく必要があります。
指値注文:今より有利な価格を待つとき
「140円まで下がったら買いたい」「155円まで上がったら売りたい」というように、現在よりも有利な価格を指定して待つ注文です。予約しておけるので、画面を見ていない間もチャンスを逃しません。
ただし、指定した価格に届かなければ約定しません。相場がそこまで来ないまま反対方向に動いてしまえば、機会を逃すことになります。「有利な価格で買えるが、買えないこともある」というのが指値の性格です。
逆指値注文:損失を限定したいとき
指値とは逆に、現在より不利な価格を指定する注文です。「145円で買ったが、143円まで下がったら売って撤退する」といった使い方をします。損切りに使われるのはこの注文です。
不利な価格をわざわざ指定するのは奇妙に思えるかもしれませんが、これは損失の拡大を自分で止めるための仕組みです。含み損が出ている状態で冷静な判断をするのは難しいため、あらかじめ撤退ラインを機械に預けておくという発想です。
また、ブレイクアウトを狙う場面でも使われます。「レンジの上限を超えたら上昇が続くと考えて買う」という順張りの入り方は、逆指値の新規注文で実現できます。
初心者の方に覚えていただきたいのが、逆指値注文です。損切りを「そのとき手動でやろう」と考えていると、いざ含み損が出たときに「もう少し待てば戻るかも」という気持ちが働いて実行できません。エントリーと同時に逆指値を入れておけば、迷う余地がなくなります。
注文の種類をはじめ、FXの基本用語をひと通り確認しておきたい方は、入門書を1冊手元に置いておくと調べやすくなります。
組み合わせの4種類
IFD注文:新規と決済を同時に予約する
IFDは「If Done(もし約定したら)」の略で、新規注文と、それが約定したあとに有効になる決済注文をセットで出しておく方法です。
たとえば「140円になったら買い、145円になったら売る」という2段構えの予約ができます。1つ目の注文が成立して初めて2つ目が有効になるため、画面を見ていない間も計画どおりに動かせます。
OCO注文:2つの出口を用意しておく
OCOは「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時に出し、どちらか一方が約定したらもう一方が自動的に取り消される方法です。
すでに持っているポジションに対して、「利益確定の指値」と「損切りの逆指値」を同時に置くのが代表的な使い方です。相場が上に行っても下に行っても、どちらかで決済されるので、放置しても損失が無制限に広がることがありません。

IFO注文:入口と2つの出口をまとめて予約
IFOは、IFDとOCOを組み合わせたものです。新規注文が約定したら、利益確定の指値と損切りの逆指値が自動的に両方セットされ、どちらかが約定すればもう一方が取り消されるという流れになります。
入口と2つの出口を一度の操作で予約できるため、日中に画面を見られない方にとっては使い勝手のいい注文方法です。慣れてきたら、この注文を軸に組み立てる方が多くいます。
トレール注文:利益を伸ばしながら守る
トレール注文は、逆指値の価格を値動きに合わせて自動的に追従させる仕組みです。買いポジションで価格が上がっていくと、損切りラインもそれについて上がっていきます。価格が下がったときには、損切りラインは動きません。
これにより、利益が伸びている間はポジションを持ち続け、反転したところで決済するという動きが自動化できます。トレンドが出ている相場で使われることが多い注文です。ただし、一時的な戻りで決済されてしまうこともあるため、追従の幅の設定が重要になります。
7種類の使いどころ一覧
| 注文方法 | 主な使いどころ | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 成行 | 今すぐ売買したい、すぐ撤退したい | 価格を指定できず、スリッページが起こり得る |
| 指値 | 押し目買い、戻り売り、利益確定 | 指定価格に届かないと約定しない |
| 逆指値 | 損切り、ブレイクアウト狙いの新規 | 急変時は指定価格から離れて約定する場合がある |
| IFD | 新規と決済を一度に予約したいとき | 損切りが含まれないので別途対策が必要 |
| OCO | 保有中のポジションに出口を2つ置く | 新規注文には使えない会社もある |
| IFO | 入口と2つの出口をまとめて予約 | 設定項目が多く、入力ミスに注意 |
| トレール | トレンドに乗って利益を伸ばしたいとき | 追従幅が狭いと早期に決済されやすい |
取引スタイル別の使い分け
短時間で完結させるスタイル
数分以内に決済する取引では、画面を見ている前提になるため成行が中心になります。ただし、判断が遅れたときに備えて逆指値だけは入れておくと、想定外の急変で大きな損失を負うリスクを抑えられます。
日をまたがずに決済するスタイル
数時間ポジションを持つ場合、エントリーは成行または指値、決済はOCOで組むのが扱いやすい形です。用事があって離席するときも、出口が両方置いてあれば安心できます。
数日から数週間持つスタイル
保有期間が長くなるほど、画面を見ていない時間が増えます。IFOで入口と出口をまとめて予約しておくのが向いています。利益を伸ばしたい局面ではトレール注文に切り替えるという使い方もあります。
どの注文方法を使っても、相場の急変時には指定した価格で約定しないことがあります。特に、経済指標の発表直後や週明けの窓が開いた場面では、逆指値が想定より不利な価格で執行される可能性があります。注文方法は損失を限定するための道具ですが、損失をなくすものではありません。FXは為替相場の変動によって損失が生じる可能性のある取引であることを踏まえ、取引数量にも余裕を持たせておきましょう。取引の仕組みについては金融庁のいわゆる外国為替証拠金取引についてもご参照ください。
注文でやりがちな失敗
買いと売りを押し間違える
もっとも多い操作ミスです。特にスマホアプリは画面が小さく、ボタンの配置に慣れていないと起こりがちです。約定後に気づいたら、すぐに決済して損失を確定させるのが基本的な対処になります。
数量の桁を間違える
1,000通貨のつもりが10,000通貨になっていた、というミスです。数量の設定はエントリーのたびに目視で確認する習慣をつけてください。注文確認画面をスキップする設定にしている場合は、その設定自体を見直すことも検討しましょう。
取引数量と必要な証拠金は、注文前に電卓で一度計算しておくと桁の思い違いに気づきやすくなります。
逆指値を建値の反対側に入れてしまう
買いポジションなのに、現在価格より上に逆指値を置いてしまうといったミスです。多くの会社ではエラーになりますが、意図と違う設定のまま通ってしまうこともあります。入力後に注文一覧で内容を確認しましょう。
決済注文を入れ忘れて週末に入る
金曜の夜にポジションを持ったまま決済注文を入れずに週末を迎えると、月曜の朝に価格が大きく離れて始まる可能性があります。週をまたぐ場合は、出口を置いておくか、いったん決済するかを決めておきましょう。

注文にまつわる用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| スリッページ | 注文したレートと実際に約定したレートのずれ |
| 許容スリッページ | どれだけのずれまで約定を認めるかの設定 |
| 約定拒否 | 許容範囲を超えたずれが生じ、注文が成立しないこと |
| 有効期限 | 予約注文をいつまで有効にするかの設定(当日・週末まで・無期限など) |
| クイック注文 | 確認画面を挟まず、1タップで発注する機能 |
| 建値(たてね) | そのポジションを保有し始めた価格 |
予約注文の有効期限は見落としやすい項目です。「当日限り」に設定していると、翌日には注文が消えています。数日かけて狙う場面では、期限を長めに設定しておきましょう。注文の種類ごとの詳細な説明は、OANDA証券の注文方法の解説ページでも確認できます。
出している予約注文の内容や有効期限は、ノートに控えておくと入れ忘れや期限切れに気づきやすくなります。
よくある質問
Q. 初心者はどの注文方法から覚えればいいですか?
A. 成行と逆指値の2つから始めるのがおすすめです。エントリーは成行、損切りは逆指値。この組み合わせだけでも取引は成立します。慣れてきたらIFOを覚えると、画面を離れられる時間が増えます。
Q. 指値と逆指値の違いが覚えられません。
A. 「今より有利な価格を指定するのが指値、不利な価格を指定するのが逆指値」と覚えてください。買いなら、今より安い価格が指値、今より高い価格が逆指値になります。
Q. IFDとIFOはどちらを使うべきですか?
A. IFDは決済注文が1つだけなので、利益確定を設定すると損切りが入りません。損切りもあわせて置きたいならIFOのほうが安全です。特に理由がなければIFOを選ぶとよいでしょう。
Q. トレール注文を使えば利益を伸ばせますか?
A. トレンドが継続した場合には有効に働く可能性がありますが、値動きが上下する相場では早めに決済されてしまうこともあります。相場の状況によって向き不向きがあり、常に有利になる注文方法ではありません。
Q. 会社によって使える注文方法は違いますか?
A. 基本の3種類はほとんどの会社で使えますが、トレール注文や一部の組み合わせ注文は対応していない場合があります。また、呼び方が違うこともあります。口座を開設する前に、対応している注文方法をご確認ください。
Q. 逆指値を入れておけば損失は限定されますか?
A. 通常の相場であれば、おおむね想定した範囲に収まります。ただし、急激な変動が起きた場合には指定した価格を飛び越えて約定することがあり、想定より大きな損失になる可能性があります。取引数量にも余裕を持たせることが大切です。
まとめ
FXの注文方法は、成行・指値・逆指値という3つの基本と、それらを組み合わせたIFD・OCO・IFO・トレールの4つで構成されています。組み合わせの仕組みが分かれば、名前の複雑さは問題になりません。
初心者の方は、まず成行でエントリーし、逆指値で損切りを置くという形を身につけてください。そのうえで、画面を見られない時間が長い方はIFOを使えるようになると、取引の幅が大きく広がります。
注文方法は損失を限定するための道具ですが、相場の急変時には想定どおりに機能しないことがあります。FXは損失が生じる可能性のある取引ですので、注文の工夫と同時に、取引数量と余力の管理にも気を配りましょう。各社の対応状況や設定方法は、公式サイトや取引ツールのヘルプでご確認ください。



