トライオートFXは、インヴァスト証券が提供している自動売買サービスです。用意された自動売買の組み合わせを選ぶだけで始められる一方、自分で細かく注文を組み立てることもできるため、始め方が二通りある点で最初に迷いやすいサービスでもあります。
この記事では、セレクトとビルダーの使い分けを軸に、トライオートFXの設定手順と、始める前に押さえておきたい判断ポイントを整理します。特定の設定を推奨するものではなく、自分で選べるようになるための解説としてお読みください。

トライオートFXの基本的な仕組み
トライオートFXの自動売買は、一つの注文が「新規で入る条件」「決済する条件」「次にまた新規で入る条件」という3つの条件で構成されています。この3つがつながっているため、決済が終わると自動的に次のエントリーが待機する形になり、条件を満たすたびに売買が繰り返されていきます。
次のエントリー条件の指定には、大きく2つの考え方があります。
| タイプ | 動き方 |
|---|---|
| カウンター | 決済した価格から一定幅だけ上下に動いたところで、再びエントリーする |
| フォロー | トレンドの方向に追従する形でエントリーする |
カウンターは値動きの往復を取りにいく発想、フォローは方向が出たときに乗っていく発想です。同じ通貨ペアでも、この指定が変われば注文の性格はまったく変わります。
カウンターやフォローといったリピート系の考え方を基礎から確認したい方は、自動売買の設定を解説した本を1冊読んでおくと、画面の項目の意味をつかみやすくなります。
セレクトとビルダー、どちらから始めるか
セレクト:選んでカートに入れるだけ
セレクトは、インヴァスト証券側で用意された自動売買の組み合わせから、気になるものを選んでカートに入れて稼働させる方式です。公式の説明でも「自動売買を選ぶだけ、複雑な設定は一切不要」とされており、通貨ペアと自動売買ロジックの組み合わせを選択する形になります。
セレクトの画面には、それぞれの組み合わせについて収益率や最大ドローダウン、推奨証拠金といった過去の数値が表示されます。数値で並べ替えて絞り込むこともできるため、条件から候補を狭めていく使い方ができます。
セレクト画面に表示される収益率は、あくまで過去の一定期間の数値です。過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。同じロジックでも相場環境が変われば結果は変わり、損失が生じる可能性があります。
ビルダー:自分で1本ずつ組み立てる
ビルダーは、自動売買注文を1つずつ自分で作成する機能です。設定の異なる注文を複数本同時に作成して稼働させることができ、完全にオリジナルのロジックを構築できます。
レンジのどこからどこまでに何本並べるか、利益値幅をいくつにするか、カウンターとフォローのどちらにするかを自分で決めるため、自由度は高い反面、設定次第で必要資金も想定される含み損も大きく変わります。

始めるまでの流れ
1. インヴァスト証券で口座を開設する
2. 取引口座に資金を入金する
3. 取引画面のメニューから、セレクト・ビルダー・トレードの各画面を切り替える
4. セレクトなら組み合わせを選んでカートへ、ビルダーなら注文を作成する
5. 数量と推奨証拠金を確認して稼働させる
6. 稼働後は証拠金維持率とポジション数を定期的に確認する
操作の詳細はツールの更新で変わることがあるため、実際の手順はインヴァスト証券が公開している操作マニュアルをご確認ください。パソコン版の操作マニュアルとスマートフォンアプリ版のマニュアルが公式に用意されています。
設定を決めるときに見るべき3つの数字
1. 推奨証拠金
セレクトの画面には、その組み合わせを稼働させる際の推奨証拠金が表示されます。この金額は、過去の値動きを前提に、ロスカットされにくくするための目安として示されているものです。手持ち資金がこの金額に届いていない場合、想定より早い段階で強制決済になる可能性があります。
2. 最大ドローダウン
過去にその設定を稼働させていたとして、資産が最も落ち込んだときにどれだけ下がったかを示す数値です。利益の数字より、こちらを先に見ることをおすすめします。その落ち込みに自分が耐えられるかどうかが、続けられるかどうかを分けます。
3. 1回の決済で得られる金額
利益値幅と数量から計算できます。1回あたりの金額が小さすぎるとスプレッドの影響が相対的に大きくなり、大きすぎると決済の頻度が下がります。バランスを見るための基本的な数字です。
ビルダーで注文を組むときの考え方
ビルダーを使う場合、決めることが一気に増えます。順番に整理していきましょう。
まずレンジを決める
どこからどこまでの価格帯に注文を並べるかを決めます。ここで参考になるのが、その通貨ペアの過去の値動きの幅です。長期のチャートで、過去数年の高値と安値がどのあたりにあるのかを確認し、その範囲を意識してレンジを置きます。
レンジを狭く取れば決済の密度は上がりますが、レートがレンジから出てしまうと決済が止まります。逆に広く取れば外れにくくなるものの、同じ資金なら1本あたりの数量を小さくする必要があります。レンジの広さと数量はセットで考えるのが基本です。
次に本数と数量を決める
レンジの中に何本の注文を並べるかで、必要資金が決まります。本数が多いほど値動きを細かく拾えますが、レートが下がりきったときに保有するポジション数も増えます。ここは「最大でこの本数すべてを保有した場合、含み損はいくらになるか」を先に計算してから決めてください。
本数・数量・値幅を掛け合わせる計算が続くので、手元に電卓を1台置いておくと、条件を変えながら何度でも確かめられます。
利益値幅とカウンター幅を決める
利益値幅は、1回の決済でどれだけの利益を狙うかです。カウンター幅は、決済した後にどれだけ価格が戻ったら再エントリーするかを指定します。この2つが近いほど回転は速くなり、離れているほど1回の重みが増します。
ビルダーで組むときの順番
1. 運用に回せる資金の上限を決める
2. 長期チャートで過去の値動きの幅を確認する
3. レンジを仮に置く
4. 本数と数量を仮に置き、全ポジション保有時の含み損を計算する
5. その含み損に耐えられなければ、数量か本数を減らす
6. 利益値幅とカウンター幅を決めて稼働させる
4番と5番を飛ばして稼働させてしまうと、下落局面で想定外の評価損に直面することになります。利益の計算より先に、耐えられる範囲の計算を済ませることを習慣にしてください。
取引単位とコストについて
トライオートFXは1,000通貨から取引でき、南アフリカランド/円のみ10,000通貨単位となっています。取引手数料は無料と案内されており、実質的なコストはスプレッドです。
ただし、自動売買は決済回数が多くなる仕組みなので、1回あたりのスプレッドは小さくても、回数が積み重なれば無視できない金額になります。スプレッドの水準は通貨ペアや相場状況によって変動するため、稼働前に公式サイトで直近の条件をご確認ください。
取扱通貨ペアの本数については、公式に明示された最新の数を確認できなかったため、この記事では具体的な数値を掲載していません。検討している通貨ペアが対象になっているかは、インヴァスト証券の公式サイトでご確認ください。

稼働させた後に確認したいこと
証拠金維持率
ポジションが積み上がると証拠金維持率は下がっていきます。ここが基準を割り込むと強制決済になるため、日々の値動きより先に見ておきたい数字です。
稼働中の注文本数
ビルダーで複数本を同時に稼働させている場合、自分がいま何本動かしているのかを把握しておかないと、資金に対して仕掛けすぎている状態に気づけません。
稼働中の注文と設定内容は、ノートに一覧で書き出しておくと、追加や停止をしたときにも全体を把握しやすくなります。
相場環境の変化
カウンター中心の設定は値動きが往復する相場で機能し、一方向に伸び続ける相場では含み損が積み上がります。レンジの端に近づいたら状況を確認するという習慣を持っておくと、対応が後手に回りにくくなります。
FX取引は為替相場の変動により損失が生じる可能性があります。レバレッジを用いた取引では、相場の急変時に預けた証拠金を上回る損失が発生する場合もあります。取引の仕組みや業者の登録状況については、金融庁の公式サイトでも情報が公開されています。
よくある質問
Q. セレクトとビルダー、初心者はどちらを使うべきですか?
操作の負担という意味では、セレクトのほうが始めやすい設計です。ただし「選ぶだけ」であっても、どの組み合わせを選ぶかで結果は変わります。推奨証拠金と最大ドローダウンを確認し、自分の資金で無理がないものを選ぶという判断は必要です。ビルダーは、自動売買の動き方を一度体感してからのほうが設計しやすくなります。
Q. 複数のロジックを同時に動かしてもいいですか?
可能ですが、証拠金は共有されます。3本動かせば、それぞれに使える資金は単純計算で3分の1になります。分散になる一方で、値動きが連動する通貨ペア同士だと同時に含み損が膨らむこともあるため、本数を増やすときは推奨証拠金の合計と手持ち資金を忘れずに突き合わせてください。
Q. 途中で設定を変更できますか?
稼働中の注文を停止したり、新しい注文を追加したりすることはできます。ただし、稼働を停止しても保有中のポジションが自動的に決済されるわけではありません。停止と決済は別の操作である点を理解したうえで操作してください。
Q. どのくらいの資金があれば始められますか?
1,000通貨単位で取引できるため、少額から始めること自体は可能です。ただし、自動売買はポジションを積み重ねる前提の仕組みなので、最低金額で始められることと、安全に運用できることは別です。稼働させたい設定の推奨証拠金を確認し、そこに余裕を持たせた金額を用意するのが現実的です。
Q. 収益率が高い組み合わせを選べばいいですか?
収益率は過去の数値であり、将来の成果を示すものではありません。むしろ、高い収益率が出ている設定は積極的に仕掛けている場合があり、そのぶん最大ドローダウンも大きくなっている可能性があります。収益率と最大ドローダウン、推奨証拠金の3つをセットで見る習慣をつけてください。
Q. カウンターとフォローはどう使い分けますか?
カウンターは、決済した価格から一定幅戻ったところで再びエントリーする指定です。値動きが往復する相場で機能しやすく、リピート系らしい積み上げ方になります。一方のフォローは、トレンドの方向に追従する形でエントリーする指定なので、方向が出ている相場に噛み合います。ただし、どちらが機能するかは今後の相場次第であり、事前に断定できるものではありません。まずは片方に絞って動き方を理解し、慣れてからもう一方を試すという進め方が分かりやすいでしょう。
Q. スワップポイントは自動売買にも影響しますか?
影響します。自動売買であってもポジションを日をまたいで保有すればスワップポイントが発生し、通貨ペアと売買の方向によっては支払いになります。特にレートが下がり続けてポジションが積み上がった状態では、保有数が増えるぶん負担も大きくなります。スワップポイントは日々変動するため、稼働させたい通貨ペアの直近の水準は公式サイトでご確認ください。
Q. 放置していても大丈夫ですか?
注文の執行は自動ですが、相場環境が変われば前提も変わります。証拠金維持率とポジション数は定期的に確認し、政策金利の発表など大きく動きやすいイベントの前後は状況を見られるようにしておくことをおすすめします。
まとめ
トライオートFXは、選ぶだけで始められるセレクトと、自分で組み立てるビルダーという二つの入り口を持つ自動売買サービスです。どちらを使う場合でも、判断の軸になるのは推奨証拠金と最大ドローダウンという2つの数字です。
収益率の高さから入るのではなく、自分の資金でその落ち込みに耐えられるかどうかから逆算する。この順番を守ることで、想定外の強制決済を避けやすくなります。
FX取引には損失が生じる可能性があり、結果には個人差があります。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではないという前提を、常に持っておいてください。




