MT5(MetaTrader 5)を初めて起動すると、画面にいくつものウィンドウが並んでいて戸惑う方は多いと思います。ただ、実際に触る場所は限られていて、気配値表示・チャート・ツールボックスの3つを押さえれば、基本的な取引は一通りできるようになります。
この記事では、MT5をこれから使う方に向けて、起動直後にやることから注文の出し方、MT5ならではの機能の使いどころまでを順番に解説します。MT4を触ったことがある方向けに、操作感が変わる部分もあわせて紹介します。

MT5を使い始めるまでの流れ
ステップ1:MT5に対応したFX会社で口座を開く
MT5は単体では取引できません。MT5を提供しているFX会社の口座が必要です。国内では、MT5を扱っている金融商品取引業者は限られているため、まずは対応会社かどうかを公式サイトで確認してください。
会社を選ぶときは、EA(自動売買)が使えるコースかどうかもあわせて見ておきましょう。同じ会社でもコースによってEAの可否が分かれることがあります。
ステップ2:MT5をダウンロードしてインストールする
口座開設が済んだら、そのFX会社の公式サイトからMT5をダウンロードします。インストーラーの指示に従って進めるだけで、数分で完了します。
MT5はMetaQuotes社の公式サイトからも入手できますが、口座を開いたFX会社が配布しているものを使うのが基本です。会社によってサーバー設定が組み込まれた専用のインストーラーを用意しており、そのほうがログインでつまずきにくくなります。
ステップ3:ログインする
口座開設時に届いたログインID・パスワード・サーバー名を入力します。ここで多いつまずきがサーバー名の選択ミスです。デモ口座とリアル口座でサーバーが分かれていたり、同じ会社でもコースごとにサーバーが違ったりします。届いた案内メールに書かれているサーバー名を、そのまま選んでください。
MT5の画面構成を押さえる
MT5の画面は大きく4つのエリアに分かれています。
| エリア | 役割 |
|---|---|
| 気配値表示 | 通貨ペアの一覧と現在のBid・Askを表示する。ここからチャートを開く |
| ナビゲーター | 口座・インジケーター・EA・スクリプトの一覧。ドラッグでチャートに適用する |
| チャートウィンドウ | 価格チャート。分析と発注の中心になる場所 |
| ツールボックス | 保有ポジション・注文履歴・経済指標カレンダー・操作ログなどを確認する |
ウィンドウを閉じてしまったときは、上部メニューの「表示」から呼び戻せます。配置を元に戻したいときもここを開いてください。
画面の構成や各メニューの場所を図で確認したい場合は、MT5の解説本を1冊手元に置いておくと、操作で迷ったときにすぐ調べられます。
気配値表示に通貨ペアを追加する
初期状態では一部の通貨ペアしか表示されていないことがあります。気配値表示の枠内で右クリックし、「銘柄」または「すべて表示」を選ぶと、その口座で扱える通貨ペアを追加できます。
MT5の気配値表示は、MT4と比べて表示できる項目が大幅に増えているのが特徴です。Bid・Askだけでなく、スプレッドや当日の高値・安値、取引単位や証拠金の条件まで一覧で確認できます。使わない項目まで並べると見づらくなるので、必要な列だけ表示させるのがおすすめです。
MT5固有の機能を使いこなす
ここからは、MT4を使っていた方が「操作が違う」と感じやすい部分と、MT5だからこそ使える機能を見ていきます。
時間足が21種類に増えている
MetaQuotes社の公式サイトによると、MT5では21種類の時間軸が用意されています。MT4では1分足・5分足・15分足・30分足・1時間足・4時間足・日足・週足・月足という限られた選択肢でしたが、MT5ではその間を埋める時間足が追加されています。
- 分足:1分・2分・3分・4分・5分・6分・10分・12分・15分・20分・30分
- 時間足:1時間・2時間・3時間・4時間・6時間・8時間・12時間
- 日足以上:日足・週足・月足
時間足の切り替えは、チャート上部のツールバーか、チャート内で右クリック→「時間足設定」から行えます。2時間足や8時間足のように、MT4では作れなかった中間の視点を持てるのがMT5の強みです。ただし、時間足を増やしすぎると判断がぶれやすくなります。メインで見る時間足を1つ決めて、その上下を補助的に使う程度にとどめるほうが実用的です。

板情報(マーケットデプス)を開く
MT5にはMT4に無かった板情報の表示機能があります。気配値表示で通貨ペアを右クリックし、「板情報」を選ぶと専用のウィンドウが開きます。
板情報のウィンドウでは、価格帯ごとの気配を見ながら発注できます。数量を指定して成行や指値を出したり、保有ポジションに損切り・利食いのラインを直接引いたりできるため、慣れると発注の手数を減らせます。
FXは株式のような中央集権的な取引所を持たない相対取引が中心のため、板情報の中身や表示のされ方は取り扱う会社によって異なります。株の板と同じ感覚で読み解こうとせず、まずは「発注パネルとして便利」という使い方から入るとつまずきにくくなります。
待機注文の種類が増えている
MT5では成行注文に加えて、待機注文(あらかじめ条件を指定しておく注文)のバリエーションが増えています。MetaQuotes社の案内では、成行注文2種類、指値系6種類、ストップ系2種類とトレーリングストップが用意されています。
中でもMT4に無かったのがストップリミット注文です。「ある価格に到達したら、指定した価格の指値注文を発注する」という二段構えの注文で、ブレイクアウトを狙いつつ、飛びついて不利な価格で約定するのを避けたい場面などで使われます。
注文画面は、チャート上で右クリック→「注文発注」、またはツールバーの「新規注文」から開きます。注文種別のプルダウンで、成行・指値・逆指値・ストップリミットを切り替えられます。
経済指標カレンダーが標準で入っている
MT5にはツールボックス内に経済指標カレンダーのタブがあります。米国の雇用統計や各国の政策金利発表などを、取引画面から離れずに確認できます。
各指標が何を示していて、相場にどう影響しやすいのかは、経済指標の解説本で整理しておくとカレンダーの予定を読み取りやすくなります。
指標発表の前後はスプレッドが広がりやすく、価格が飛ぶこともあります。ポジションを持ったまま指標をまたぐかどうかは、事前にカレンダーで確認して決めておきましょう。表示される予定や時刻は変更されることがあるため、重要な指標については各国当局や取引会社の案内もあわせて確認すると確実です。
ストラテジーテスターでEAを検証する
EAを使う場合、いきなり実口座で動かすのではなく、まずストラテジーテスターで過去データを使った検証を行います。MT5のストラテジーテスターは、複数のCPUコアを使って処理する仕組みになっており、MT4よりも検証を進めやすくなっています。
使い方の流れは次のとおりです。
- 上部メニューの「表示」→「ストラテジーテスター」を開く
- 検証したいEAを選び、通貨ペアと時間足を指定する
- 検証する期間と、初期の証拠金額を設定する
- 「スタート」を押して結果を待つ
- 「結果」「グラフ」「レポート」の各タブで成績を確認する
バックテストの成績が良好でも、将来同じように推移するとは限りません。過去データに合わせて設定を細かく調整しすぎると、その期間だけに都合よく最適化された状態になり、実際の相場では機能しなくなることがあります。検証結果は判断材料の1つとして扱い、結果には個人差があることを前提にしてください。
チャートを見やすく設定する
色や表示形式を整える
チャート上で右クリック→「プロパティ」を開くと、背景色・ローソク足の色・グリッド線の有無などを変更できます。長時間見る画面なので、目が疲れにくい配色にしておくと作業が楽になります。設定が決まったら、右クリック→「定型チャート」→「定型として保存」で保存しておけば、他の通貨ペアにも同じ設定をすぐ適用できます。
複数のチャートや時間足を並べて見るなら、PCモニターを1枚足すだけでも画面を切り替える手間が減り、作業しやすくなります。
インジケーターを追加する
ナビゲーターウィンドウの「指標」から使いたいものを選び、チャートにドラッグするだけで追加できます。MetaQuotes社の公式サイトでは、MT5に多数のテクニカル指標と分析オブジェクトが標準搭載されており、あわせて80種類以上の分析ツールが使えると案内されています。
ただし、最初から何本も重ねると画面が読みにくくなります。移動平均線を1〜2本入れて、必要ならオシレーター系を1つ足すくらいから始めて、自分に必要なものを見極めていくのが分かりやすい進め方です。
ワンクリック取引の設定
チャート左上のパネルから、ボタン1つで成行注文を出せる「ワンクリック取引」を有効にできます。素早く発注できる反面、確認画面を挟まずに約定するため、誤操作のリスクも上がります。慣れないうちはオフにしておき、操作に自信がついてから使うかどうかを判断してください。

MT5を使うときのリスクと注意点
FXは為替レートの変動によって損失が生じる可能性がある取引です。レバレッジをかけると、値動きに対する損益の振れ幅も大きくなります。
- ロスカット:証拠金維持率が会社の定める水準を下回ると、ポジションが強制的に決済されます
- 不足金の発生:相場が急変した場面ではロスカットが間に合わず、預けた資金を超える損失になることがあります
- EAの停止:PCの電源が落ちたり回線が切れたりすると、EAは動作を止めます。ポジションを持ったまま止まる可能性があります
- サーバー時間のずれ:MT5に表示される時刻は取引サーバーの時間で、日本時間と一致しないことがあります。指標発表の時刻を照らし合わせるときは注意してください
取引の仕組みやリスクについては、一般社団法人金融先物取引業協会のサイトでも投資者向けの情報が公開されています。また、口座を開く会社が登録を受けた業者かどうかは、金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧で確認できます。
よくある質問
Q. MT5にログインできません。どこを確認すればよいですか。
まずサーバー名を確認してください。デモ用とリアル用でサーバーが分かれていること、同じ会社でもコースごとにサーバーが異なることがあります。次にログインIDの入力ミス、パスワードの大文字・小文字を確認します。それでも解決しない場合は、口座が有効化されているかをFX会社に問い合わせてください。
Q. MT4で使っていたEAをMT5でも動かせますか。
そのままでは動きません。MT4のEAはMQL4、MT5のEAはMQL5という別の言語で書かれています。MT5で使うにはMQL5向けに作り直す必要があります。カスタムインジケーターやテンプレートも同様です。
Q. スマホアプリでもMT5の全機能を使えますか。
チャートの確認と発注はスマホアプリでも行えますが、EAの稼働やストラテジーテスターはインストール型のMT5でしか使えません。自動売買を行うならPCかVPSが必要になります。
Q. 気配値表示に目当ての通貨ペアが出てきません。
気配値表示の枠内で右クリックし、「銘柄」または「すべて表示」を選んでください。それでも表示されない場合は、その通貨ペアが口座のコースで取り扱われていない可能性があります。公式サイトの取扱通貨ペア一覧を確認してください。
Q. チャートの表示が途中で止まっているように見えます。
ヒストリカルデータが不足している可能性があります。「ツール」→「オプション」→「チャート」で、表示するバー数の上限を確認してください。また、市場が閉まっている時間帯は価格が更新されないため、止まって見えることもあります。
Q. デモ口座はどのくらい使えますか。
会社によって有効期限が異なります。期限が切れたら再度発行すれば使えるところが多いので、操作に慣れるまでは遠慮なく活用してください。デモは注文操作の練習には向きますが、実際の資金が動かない分、損益に対する感覚は実口座と異なります。
まとめ
MT5の基本操作は、気配値表示で通貨ペアを出し、チャートを開いて分析し、注文を出すという流れに集約されます。ここまで手が動くようになれば、あとは板情報や経済指標カレンダー、ストラテジーテスターといったMT5固有の機能を、必要に応じて足していけば十分です。
時間足が21種類に増えたこと、ストップリミット注文が使えること、板情報から直接発注できることは、MT4から移った方にとって分かりやすい違いです。一方で、EAやインジケーターに互換性がない点は、移行時にかならず引っかかるところなので先に把握しておきましょう。
そして、ツールがどれだけ高機能でも、相場のリスクは変わりません。FXは損失が生じる可能性がある取引です。まずはデモ口座と少額の取引で操作に慣れ、自分が管理できる範囲で進めていきましょう。



