TradingView(トレーディングビュー)は、ブラウザで動く高機能なチャートツールです。ソフトのインストールが不要で、FX会社の口座を持っていなくてもチャートを見られるため、分析ツールとして使うトレーダーが増えています。
一方で、機能が多いぶん最初は何から触ればいいのか分かりにくいのも事実です。この記事では、FXでTradingViewを使うことを前提に、アカウント作成からチャート設定、国内FX口座との連携までを順番に整理します。

TradingViewとはどんなツールか
TradingViewは、為替・株式・株価指数・商品・暗号資産など幅広い市場のチャートを、1つの画面で扱えるツールです。ブラウザ版のほか、PC用アプリとスマホアプリも提供されています。
FXでよく使われる理由は次のあたりです。
- 描画ツールが充実している:トレンドライン、水平線、フィボナッチ、チャネルなどを直感的に引ける
- インジケーターが豊富:標準搭載のものに加え、ユーザーが公開したスクリプトも使える
- 複数の通貨ペアを並べて比較できる:画面を分割して同時に監視できる
- デバイスをまたいで同期される:PCで引いたラインがスマホでもそのまま見られる
- アラートを設定できる:指定した価格やインジケーターの条件で通知を受け取れる
MT4やMT5がFX会社の口座と紐づいた取引プラットフォームなのに対して、TradingViewは分析ツールとして単体で使えるのが大きな違いです。そのうえで、対応しているFX会社の口座と連携すれば、チャートから直接発注することもできます。
TradingViewを使い始める手順
ステップ1:アカウントを作成する
公式サイト(TradingView)にアクセスし、メールアドレスまたは外部アカウントで登録します。無料プランのままでも基本的なチャート機能は使えるので、まずはここから始めれば十分です。
ステップ2:スーパーチャートを開く
ログイン後、メニューから「チャート」(スーパーチャート)を開くと、分析画面が立ち上がります。ここがTradingViewの中心になる場所です。
ステップ3:通貨ペアを検索して表示する
画面左上の銘柄名をクリックすると検索窓が開きます。「USDJPY」のように入力すると候補が出てくるので、選べばチャートが切り替わります。
同じ「USDJPY」でも、データの提供元によって候補が複数出てきます。提供元が違えばレートも微妙に異なるため、実際に取引する会社とチャートの提供元が違うと、価格が数pips ずれることがあります。ラインを引いて価格を判断するときは、この差を意識しておいてください。
FXで使うためのチャート設定
時間足とチャートの種類を切り替える
画面上部のツールバーで時間足を切り替えます。よく使う時間足は「お気に入り」に登録しておくと、常時ツールバーに表示されて切り替えが速くなります。
チャートの種類も同じくツールバーから変更できます。ローソク足のほか、バーチャート、ラインチャート、練行足などが選べます。FXでは日本式のローソク足を使う方が多いですが、値幅だけで区切る練行足を併用すると、ノイズを減らした形で流れを確認できます。
ローソク足や練行足といったチャートの見方そのものを基礎から確認しておきたい方は、チャート分析を解説した本を1冊手元に置いておくと、ツールの機能と照らし合わせながら学べます。
インジケーターを追加する
上部の「インジケーター」ボタンから検索して追加します。移動平均線なら「Moving Average」、ボリンジャーバンドなら「Bollinger Bands」で見つかります。
追加後は、インジケーター名の横にある歯車アイコンから期間や色を変更できます。無料プランでは1つのチャートに追加できるインジケーターの数に上限があります。公式サイトの料金ページでは、無料のBasicプランはチャートあたり2つ、上位プランになるほど増える構成が示されています。使う本数を絞れば、無料のままでも十分に分析できます。
描画ツールでラインを引く
画面左側のツールバーから描画ツールを選びます。FXでよく使うのは次のあたりです。
| ツール | 用途 |
|---|---|
| 水平線 | 意識されている価格帯(サポート・レジスタンス)に引く |
| トレンドライン | 安値どうし・高値どうしを結んで流れを把握する |
| フィボナッチ・リトレースメント | 押し目や戻りの目安を測る |
| 平行チャネル | 値動きの上下の幅を捉える |
| 長方形 | レンジの範囲を面で示す |
引いたラインは通貨ペアごとに保存され、次に開いたときもそのまま残ります。スマホアプリでも同じラインが表示されるので、外出先で相場を確認するときにも役立ちます。

ウォッチリストで通貨ペアを管理する
画面右側のウォッチリストに、監視したい通貨ペアを登録しておけます。自分が触る通貨ペアだけをまとめておくと切り替えが速くなります。用途別に複数のリストを作ることもできるので、「主要通貨」「クロス円」のように分けておくと整理しやすくなります。
アラートを設定する
チャート上で右クリック→「アラートを追加」から、指定した価格に到達したときに通知を受け取れます。ブラウザの通知、アプリのプッシュ通知、メールなどを選べます。
公式サイトの料金ページによると、設定できるアラートの数はプランによって異なり、無料プランでは価格アラートの数に制限があります。「この価格まで来たら見る」という運用にすれば、チャートに張り付く時間を減らせます。
チャートを分割して複数時間足を並べる
上位プランでは、1つのタブに複数のチャートを並べて表示できます。4時間足で流れを見て、1時間足で押し目を探し、15分足でタイミングを取るといった多時間足の分析を1画面で行えます。無料プランではタブあたり1つのチャートに限られるため、時間足を切り替えながら確認する形になります。
どちらの使い方でも、画面が広いほうがチャートの細部やラインの位置を確認しやすくなります。ノートパソコンの画面が窮屈に感じる方は、PCモニターを1枚足してみるのもひとつの方法です。
国内のFX口座と連携して使う
TradingViewは分析だけでなく、取引と組み合わせて使うこともできます。国内では大きく2つのパターンがあります。
パターン1:TradingView本体からFX口座に接続する
OANDA証券は、TradingViewのチャート画面から自社の口座に接続して発注できる仕組みを提供しています。公式サイトの案内によると、手順はスーパーチャート画面の「トレード」からOANDA証券を選び、口座のメールアドレスとパスワードでログインするという流れです。
ただし、連携できる口座には条件があります。同社の案内では、NYサーバーのfxTrade用・MT4用の口座が対象で、東京サーバーの各コースや商品CFDの口座は対象外とされています。連携を目的に口座を開く場合は、対象コースを間違えないようOANDA証券の公式サイトで確認してください。
パターン2:FX会社の取引ツールにTradingViewが組み込まれている
もう1つは、FX会社が自社の取引ツールの中にTradingViewのチャートを内蔵しているパターンです。この場合、TradingView側で別途契約しなくても、口座を持っていれば追加費用なしで使えるのが利点です。
- みんなのFX(トレイダーズ証券):PCの「FXトレーダー」とスマホの「FXトレーダー アプリ版」にTradingViewのチャートを内蔵。公式サイトによると約90種類のインジケーターが使え、チャートは最大6枚まで複製でき、注文ラインやポジションサマリラインの表示にも対応しています
- SBI FXトレード:取引ツール「WEB NEXT」「リッチクライアントNEXT」からTradingViewのアドバンストチャートを利用できます。公式サイトでは、100種類以上のインジケーターと110種類以上の描画ツールが使えると案内されています
内蔵型は「そのFX会社のレートで表示される」のが大きな利点です。実際に約定する価格とチャートの価格が揃うため、ラインで判断するときのずれが起きにくくなります。一方で、TradingView本体のようにすべての市場を横断して見られるわけではありません。分析はTradingView本体、発注は取引ツールという使い分けをしている方も少なくありません。

TradingViewを使うときの注意点
チャートの価格と実際の約定価格は一致しない
TradingView本体で表示されるレートは、データ提供元のものです。取引する会社のレートとは差があるため、そのまま指値の価格を決めると、思ったところで約定しないことがあります。分析はTradingView、発注は取引ツールという使い方をする場合は、この点を前提に少し余裕を持たせておくと安心です。
インジケーターを増やしすぎない
公開されているスクリプトは膨大にあり、次々に試したくなります。ただし、指標が増えるほど判断が割れやすくなります。自分が根拠として説明できるものだけを残すほうが、結果的に迷いが減ります。
FX取引そのもののリスク
チャートツールが高機能でも、相場の値動きは予測できるものではありません。FXは為替レートの変動によって損失が生じる可能性がある取引で、レバレッジをかけている場合は、証拠金維持率が一定水準を下回るとロスカットが執行されます。急変時には預けた資金を上回る損失が発生することもあります。
取引の仕組みやリスクについては、一般社団法人金融先物取引業協会のサイトでも投資者向けの情報が公開されています。取引を始める前に一度確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. TradingViewは無料でどこまで使えますか。
無料のBasicプランでも、チャートの表示・描画ツール・インジケーターの追加・アラートの設定といった基本機能は使えます。ただし、チャートあたりのインジケーター数、タブあたりのチャート数、保存できるアラート数などに上限があります。プランごとの詳しい違いは公式サイトの料金ページでご確認ください。
Q. 有料プランに加入したほうがよいですか。
使い方によります。インジケーターを3つ以上重ねたい、複数時間足を1画面で並べたい、アラートを多く設定したいという場合は有料プランが選択肢になります。逆に、シンプルな分析で足りるなら無料のままでも支障は少ないでしょう。まずは無料で使ってみて、制限に当たった項目が何かを確かめてから判断するのが無駄がありません。
Q. 日本語で使えますか。
日本語表示に対応しています。表示言語は設定から変更できます。
Q. スマホアプリだけでも使えますか。
使えます。PCで引いたラインやインジケーターの設定はアカウントに紐づくため、スマホでも同じ状態で表示されます。ただし、画面が小さいぶん細かい描画はPCのほうが作業しやすいでしょう。
スマホでアラートやチャートを確認することが多い方は、スマホスタンドで机の上に立てておくと、ほかの作業をしながらでも画面が見やすくなります。
Q. FX会社の口座がなくても使えますか。
チャートを見るだけなら口座は不要です。TradingViewのアカウントを作れば、その日から為替チャートを確認できます。実際に取引するにはFX会社の口座が必要です。
Q. リプレイ機能とは何ですか。
過去のチャートを巻き戻し、時間を進めながら値動きを再現できる機能です。先の値動きを見えない状態にして、自分ならどこでエントリーするかを確認する練習に使われます。ただし、過去の検証でうまくいっても実際の相場で同じ結果になるとは限らず、結果には個人差があります。
Q. 複数のFX口座と連携できますか。
TradingView本体との連携は、対応している会社の口座であれば切り替えて使えます。ただし、国内で本体連携に対応している会社は限られています。対応状況は各社の公式サイトで確認してください。
まとめ
TradingViewは、無料のまま始めても十分に実用的なチャートツールです。まずはアカウントを作り、通貨ペアを表示して、水平線とトレンドラインを引くところから触ってみてください。慣れてきたら、ウォッチリストとアラートで監視の手間を減らし、必要に応じて有料プランを検討するという順番が無理のない進め方です。
取引と組み合わせる場合は、TradingView本体から口座に接続する方法と、FX会社の取引ツールに内蔵されたTradingViewを使う方法の2つがあります。内蔵型はそのFX会社のレートで表示されるという利点があるので、実際の約定価格との整合を重視するなら、こちらも検討する価値があります。
最後に、ツールがどれだけ優れていてもFXのリスクは変わりません。損失が生じる可能性がある取引であることを踏まえて、少額から自分のペースで進めていきましょう。



